花梨とうの粒焼き

日々のちょこっとをちょこっと。

可哀そ可愛い。

ふぅ~。

やっと読み終えた。

藤子不二雄Ⓐの『まんが道』全23卷である。

まんが道 (1) (中公文庫―コミック版)

 

近所の人から無理矢理貸されたのだ。

無理矢理貸されるて、どんな状況だ。

そのヒトの好みの本を押し付けられるって好きじゃないぞ。

最初はどうしよう・・と思ったのだが、絶対読むべき本だだの、奥さん!読んで損はないですよだの、お気に召さなかったらクーリングオフ出来ますぜだのと言われ、熱意に負けたと言うかあまりにものその強引さぶりが却って清々しく、とにかく読み始めてみた。

で。

どうしよう。

どうしようっちゅーこともないが。

 

面白かったのだ。

 

私しゃこの人たちの絵は好きじゃないし、どうせマンガ界のサクセスストーリーなんだろうよ。

最初は、大御所の『私はこうしてプロになった』の武勇伝を読んで、はいはい凄いですな~プロの道は厳しいざんすよね~みたいな感想を持たされるんだろう、と思っていただけに。

 

 

あまりも素朴、純粋、且つ礼儀正しい少年たちであった。

純粋な心を描くって、どうかするとソレを狙ったあざとさみたいなものが垣間見えたりして、私のようなひねくれ者は逆に興ざめしてしまいがちなのだけど、どこまで読んでもそれは感じられなかった。

ご本人も、素朴さとか純粋さを出そうなんざ思って描いたわけじゃないだろう、と思った。

でもそれが出ている。

 

敬愛、と言うより崇拝している手塚治虫にときわ荘でやっと会えたものの、ちょっと待っててね、この仕事を片付けちゃうから、と締切に追われている氏が猛然と仕事をする。

私ならば、自分がそこまでマンガに情熱を燃やしているならじーっと待って仕事ぶりを盗み見てるとか、あわよくばいい話が聞けるんじゃないかとか何かお宝が貰えるんじゃないかとかいろいろ期待して、終わるまで耐えているだろう。

だって子供の頃から憧れてきた人が目の前にいるんだもの。

このチャンスを生かさずおくべきか。

 

しかし、二人はそのままそっと部屋を出た。(もちろん連れてきてくれた人には退座する旨を言って、だけど)

邪魔だろうから、という遠慮もあるが、それより、もう十分だと満足してのことである。

氏の背中が雄弁に、プロのまんが家とはどういうもんかを語っていたのをしかと受け取ったと言いますか・・。

そして、ときわ荘を出て門の外で誰にも聞こえんのに『有難うございましたー!』と深くお辞儀をする。

 

んで。

藤子不二雄ご両人はいいのだが、ドラえもんの『のび太』は子供の頃から腹立たしかった。

ちょっと困ったことがあるとすぐに『何とかしてよぉ~ドラえもぉ~ん』とか泣きつきやがって、と(笑)

自分を棚に上げて、いや、自分を見ているようだからか、何か、そんな弱っちぃ男(映画となるとなぜか勇ましくなるが)が許せん少女だったのだ。

 

 

高校時代、ちょいと憧れていた先輩が実は相当カナヅチだ、という噂を聞いて、プールの真ん中でアップアップする彼の姿が浮かんでちょっと嫌いになったことがある(笑)

・・と言う話を娘たちにしたらば、『えぇー!ひどっ!』と顰蹙をかった。

ひどっ!ったって、別に付き合っていたわけじゃないんだし、勝手に憧れて勝手に幻滅してる分にはよいではないか。

中2の次女は

『逆に私は可愛いなと思って余計好きになるよー。普段完璧そうにみえてそんなダメなところを知ったら。』と言う。

そのギャップ、が良い、のだと。

19才の長女も、中学時代に何とも思っていなかった男子がプールの授業の時に、隅の方で必死に一人で泳ぐ練習をしているのを見て『可哀想可愛く(かわいそかわいく)』思えたと言った。

可哀想がるってアンタ、相手に失礼だけども。

愛おしい、の類義語か?

分かる気もするけど、しかし、私がそう思うのは男に、ではなくて、飼い犬ぐらいのもんだろうか(笑)

 

私の少女時代は・・と、こんなことを書くとおばさん丸出しであるが、その頃のモテる男子はいつだって大概スポーツ万能(勿論泳ぎも。どうかするとバタフライだってできる)頭はほどほど(ほどほどが良い)で明るくおもしろく・・と、こんな感じであった。

ま、すべてその条件に当てはまる男子がモテていたわけじゃないが。

 

でも、もういまどきの?女子は、てか、少なくとも娘たちは白馬の王子様なんて求めちゃいないのだな。

どうかすると自分が白馬に跨って、傷ついた男子をひょいと掴みあげて病院まで連れて行くタイプかも知れん(笑)

 

 じゃあさ。

憧れの先輩の頭にハエがとまってるのを見てちょっと嫌になったことない?と聞こうかと思ったけど・・。

やめといた。