焼けぼっくいに火はつかない トラバ&追記あり
けいすけさんの記事『思い出のしまい方』
http://sakak.hatenablog.com/entry/2014/01/26/230037
きなこさんの記事『面倒くささの利点』
http://kinako.hatenablog.com/entry/2014/01/27/155911
・・を拝見して、『焼けぼっくいに火がつく』っつー言葉が浮かんだ。
同窓会で再会して、、というパターンも多いかも知れん。
しかし、20代30代なら若さに渋みとか色気なんぞがプラスされて再び火がつくというパターンもあるやもしれんが、今の私の年齢での同窓会なんざ、それに『老い』が圧倒的に被さり、どうかすると自分の姿を棚に上げてひそかに昔焼けたぼっくいを足でぐりぐり更に地中に埋めたりするんでないか、っつーぐらいである。
いや、分からんけど。中には火がつく方もいらっしゃるかもしれんけど。
分からんというのは、私、元カレっつーもんと再会したことがないもんで^^;>
で。
二人で焼けたことはないが、自分の中だけで燃焼してから再会して火がつきそうになったことはある。
以下は、前に、ダイアリーに書いた話を加筆修正↓
『一冊の本』
高校の同級生であったS君と私は偶然地元で再会した。
まあ偶然と言っても同じ地元なので、バッタリ会うのはそう珍しいことじゃないんだけど。
その日は「おぉー元気??」みたいな感じでそのまま喫茶店に入り、高校の頃の話なんぞで盛り上がり、じゃあ今度皆で一緒に飲みに行こうよ~と約束した。
実は私は高校の時に彼を好きだった時期があった。
が、ふらふらと恋多き女子高生であった故、途中で先輩に夢中になったりしては失恋し、また彼に戻り、しかし程なくしてまた他の人を・・というように彼と他の人の間を想いだけが行ったり来たりな感じであった。
しかし気持ちが彼にある時でも何となく思いを打ち明けなかった。
んで、高校生活も終わる頃に本格的な?彼氏が出来てそっちに夢中になり、彼への思いは再び消失したまま卒業した。
・・からの再会である。
何回かの飲み会の時に酔った彼に「花梨、可愛くなったねー」と言われたことに私は有頂天になり、酒の勢いでか思わず実は私S君が好きだったことがあるんだよ~(* ̄∇ ̄)/ なんつって言ってしまった。
たぶん・・どっかでまだ好きだったんだろう。
彼は、えー?そうだったのー?とびっくりしつつもチョイ嬉しそうだった。
ただ、彼は何となくいつも元気が無かった。
そんなある日。
どんなキッカケか忘れたけど、彼の家に一人で遊びに行くことになった。
そこが肝心だと思うのだが(笑)どうしても何でそうなったのか思い出せないという。。^^;
私が行くと言ったのか、彼がおいでよと言ったのか。
んで。
初めて訪れた彼の部屋である。
実家には母と姉夫婦が住んでおり、彼は同じ敷地内にある離れの部屋を使っていた。
12畳ぐらいの、余計な家具が一切無い、不自然なほどキチンと整理された部屋。
だから目立ったのだ。
テーブルに一冊だけ置かれたその本が。
『ノルウェイの森』・・であった。
当時はその本が丁度もてはやされていた時期であり、彼も愛読していたんであろうよ・・とは思うが。。
その頃からあまのじゃくな私は、何となくベストセラーなものをわざと避けていた。
だからその本も読んでいなかった。(未だに読んだことないけど)
もし、私もその本を読んでいたら。。
おぉー!私も読んだ読んだ!などと言って感想なぞ話し合っていたかもしれん。
また。
彼の高校時代の印象が、読書家であったり村上春樹の世界(知らないけど)とすんなり溶け込むような何というか細やかな情緒を持っている人間だとしたら・・
その本が置いてあるのも納得出来たと思う。
しかし。
私の印象では彼は『ノルウェイの森』なんぞを読むような奴ではなく、どっちかってーと近所の森を鼻垂らして駈けずり回っていたような・・
もっと直情的と言うかやんちゃな男子・・という感じだった。
だから、その本はその整然とした部屋のインテリアの一部であり、いかにも[こんなオシャレな本を読んでいる俺]をアピールしているような本の置き方がしゃらくさく思えた。
んで、それを目にした私は彼に対するいろんなものがすぅ~と醒めてしまった。
まぁ、まあね。
あれからいろいろなことが彼にもあり、いろんな傷も負っていたでしょう。
そんな中で彼もノルウェイの森化したのかも知れん。
ノルウェイの森化ってよく分からんけど。
もしその小粋な白木のテーブルに一冊だけ置かれた本が
『人間失格』か何かだったら・・
それなりに対応(それも読んだことないけど)のしようもあったろう。
いやいやアンタ合格だよ!(何が)とか何だとか。
または
『忍術秘伝の書』なんぞだったら・・
私は忍者好きな同志であることを喜び、思わず彼の手を固く握りしめ、その後の時間は一緒に手裏剣造りにいそしんでいたであろう。
まぁ、そこにその本があったからには、彼は読もうと思って買った(または借りた)んだろうけども。
そうではなく自分のイメージを上げるような演出をしたとしたら^^;自分を好きだったといった女の子にちょっと虚勢を張ってみたかったのか。
だとしたら。
彼は勘違いをしていた。
私は、ノルウェイの森を読むような彼よりジャンプを読んでいるような彼の方が好きだったのだから。
夢を諦めて実家の稼業を継いだ彼は、店と家の往復の毎日だと言っていた。
だからか、どことなく人恋しそうでもあった。
そしてぽつりぽつりと、高校を卒業してからのあまり幸せではない経験を語った。
たった一冊の本が、なんであんなに気持ちを下げてしまったんだろう。
もしそれが高校時代だったら、「何?こんな本読む人だっけ~?(`∇´*)」なんて、からかっていたかも知れない。
でも、あの時、それを笑うには、暗くなった彼の何かを傷つけるような気がして出来なかった。
帰り際に彼は「また来てよ。」と、ちょい淋しそうな顔で言った。
私は「うん。」と言ったけど。。そのまま会うことは無かった。
何年かして、彼が結婚をしたと聞いた。
その時は私もとっくに結婚をしていたし、あ~良かったな。。と心から思えた。
ただ、今は。
高校時代の、彼を好きな気持ちを胸に隠しながら無邪気に冗談を言い合っていた頃が懐かしく思える。
私は・・。
付き合ってきた人を大概嫌いになって別れてきた。
好きなまま別れるということがない。
更に、嫌いになっても言い出せず、そのうち新しい恋を片手で掴んでから別れるという手段をとってきたという、全くもってずるい嫌な女である。
だから。
きなこさんのように、私も上書きをするということがない。
閉じてしまったファイルを二度と開ける気にはなれない。
しかも、私のそのファイルには『嫌い』というタグが付いているし^^;
だから、付き合った人と再び焼けぼっくいに火がつく、というパターンは皆無であろうよ。ま。結婚してるけど。
ただ、だから自分の中だけで燃焼して冷凍保存していた想いが何かの拍子に溶け出す、ということはあるかもしれない、とは思う。
ま。結婚してるけど。
でも、一般に、そんな場合でも男より女の方が相手をシビアな目で見ちゃうような気がするなぁ。。
あの頃好きだった人の、何故好きだったかということまで女は冷凍保存していて、それを解凍するには現在の相手にもそれが見えてなければなかなか出来ないんじゃないだろか。
相手のその頃と変わった部分を見つけるのは女の方が目ざとくて、その変わってしまった部分が心に引っ掛かったらば、なかなか先に進めないんじゃないか。
ま、私だけかも知れんけど^^;
私は。。
彼のそんな虚勢を張った部分に引っ掛かり、暗くなってしまった心の裏を読み取れず、寛容にもなれず、ただただ昔の彼と違ってしまったことにこだわり解凍することなく終わってしまった。
(まあ、彼にしても私が解凍したところで何ともなかったと思うけど^^;)
ただ、あの時の私は、村上春樹よりジャンプを読む彼に会いたかったのだと思う。
もういちど。
*再びきなこさんの記事に言及であります。
『ネギの味~加筆再掲載~』
http://kinako.hatenablog.com/entry/2014/01/28/075745
私が『ノルウェイの森』で、きなこさんは『ネギ』(笑)
チューリップの♪わがま~まは~男の罪~それを許せないのは女の罪~♪っちゅー歌を思い出した。