花梨とうの粒焼き

日々のちょこっとをちょこっと。

哀愁のヨッパライ。

実は先日からコレを書いていたのだが、書いてる途中で空がゴロゴロと鳴りはじめ、いきなりガラガラドッシャーン!!と家の近くにカミナリが落ちた。(たぶん)

びっくらこいて思わず、

キャー!!(ノ≧⊿≦)ノ

・・と叫んでしまった。

あれ・・。

私、まだ『キャー!!』なんつー声が出るんじゃん!(●´ω`●)ゞ

なんだ、私もまだ乙女の端くれぢゃないか。(ΦωΦ)ふふふ・・と思っていたら、

おいっ!!気をたしかに持て!と再び凄い剣幕でカミナリに怒られたので慌ててPCを閉じた。

 

『気をたしかに』と言えば、どこかの学校の教室に

『今月の目標  気をたしかに』

・・と書かれた紙が貼ってある写真を見て笑ってしまった。

そんな学校に行きたかった~(笑)

 

さて。

先日の夜、どうしても足りないものがあったので近くのスーパーに行った。

そこでは娘が清掃&値引き処理のバイトをしている。

 

遠目で、白い作業着に白い長靴を履いた娘がチラリと見えた。

チラリと見えた、と言うのは娘の周りに人だかりが出来ていたからである。

丁度、惣菜や弁当に値引きシールを貼る時間だった。

全員70才過ぎぐらいのおじさん達がぐるりと取り囲み、娘に段々にじり寄っている。

近っ! プッ(* ̄m ̄)

 

(おじさんにモテモテじゃん)そう思ったら何だか可笑しくなってしまった。

 

んで、皆、どこかほろ酔い加減。

晩酌の途中でつまみがなくなり、買いに来たんだろうか。

少々ふらつきながらも黙して、カルタ取りの如く、じーっっと目当ての惣菜にシールが貼られるのを待ち構えている。

しかし、いつも何人かは、まだシールの貼られていない惣菜パックを黙って娘に差し出す、と言う。

『せめて、これにも貼ってくれとか言えばいいのにさ、何も言わずに目の前に突きつけるんだよー』

 

 

そんなおじさん達がこんな夜遅くに惣菜を買いに来る、という生活環境。。

ちょっと酒のつまみを買ってくるよ~と、同じく年老いた妻に言い残し、散歩がてら買いに来た人もいるだろうけど。

ちょいくたびれた身なりや様子から何となく、妻に先立たれて一人で暮らしている、という人が多いんじゃないかと思った。分からんけど。

 

妻がいた頃は、何も言わずとも茶碗を差し出せばご飯のおかわりが、

おい、そろそろ、と言えば酒とつまみが出てくる。

そんな生活をしていたお父さん達。

だから。

妻に先立たれた当時は、何をどうしたらよいかわからなかった。

自分の箸の場所さえ知らなかった。

しかし、この頃やっと家事が何とかサマになってきた、と自分で思う。

 

とっくに定年退職したので会社帰りに一杯、ということもなくなり、近所に飲み友達もいないので、晩酌はいつも一人でやる。

 たまにはちょっと手の込んだつまみも食べたいな・・。

そうだ、あのスーパー、そろそろ値引きの時間じゃないか。

酒ももう無くなってきたしな・・。

・・よし、行ってくるか。

 

道すがら、ちょっとふらつく足取りで苦笑する。

値引きの時間が分かるようになったなんて、俺の主夫業もちょっとは進歩したもんだ、と。

 

 

でも。

何十年と夫婦生活をしてきた中での習慣は変わらない。

やってもらえることは当然とばかりに、慣れてしまっている。

だから。

茶碗を黙って差し出していたように、値引きバックも黙って差し出すのだ。

 

・・・・というのは考え過ぎか^^;>

 

 

値引きシールには、おばさんたちも取り囲む。

でも娘が言うには、おじさんたちのじんわりとした無言の圧力を、謂わば『静』とするなら、おばさんたちは全く『動』なのだと。

『おねえさんコレ安くなる!?』と、惣菜パック片手に勢い込んで聞きに来る。

シールが貼られるや否や、皆争うように凄い勢いでカゴに入れる。

そこには、おじさんたちが醸し出すような哀愁みたいなのは全く無い。

ふぅ~、今日も安く買えたわ~!という、してやったりな満足感^^;

 

 

父が死んでまもなくの頃。

夜になると母はよく、小さなベランダに出てコップ一杯のビールを飲んでいた。

空にはポカンとした満月。

『ああ、お父さんと一緒に見たかったなぁ・・って思ったら何だか泣けてきちゃってさ。』

電話口でそう言っていた母ではあったが、一年も経たないうちに

『あのさ、セブンイレブンの惣菜が美味しいのよ~!友達とカラオケの帰りによく買って家で食べるんだけど、あんたも一回食べてみなっ!』

などと言う。

普段は二人前のご飯を炊いて、朝と夜に食べる。

おかずにうるさかった父もいないので、朝は手軽にお新香と納豆、味噌汁ですます。

昼は遊びに行って、夜はコンビニで何か買って帰る。

そんな生活。

 

不自由な足を引きずってまで惣菜を買いに行っているみたいだが、そこに哀愁は無い。

無い、ということがいつまで続くのか分からんけど。

 

たまに

『寂しくないの?』

・・と聞くと

『全然寂しくないよ。もう慣れたよ。』

と言う。

『一緒に暮らす?』と言うと

『やだ。』

と即答。

・・・やだっ、ってアンタ^^;

 

私の夫に気兼ねしているのかも知れんけど、わがままで短気な夫(父)がいなくなった自由を、満喫しているのだろう、と思う。

 

 

これがもし、母ではなく父だったら。。

何だか目に浮かぶようである。

 

野球中継を観ながらビールを一本空ける。

おい!何かつまみないか?

台所に向かってそう言おうとして、気が付く。

そっか。

あいつ、もういないんだった。

しょうがない。何か買ってくるか。

たまには酢の物でも食いたいなぁ・・。

そういえば、タコとわかめの酢の物、あいつ、よく作ってたっけ。

 

そうやって千円札をクシャっとズボンのポケットに突っ込み、ふらふらと家を出る。

 

ああ、今夜は満月か。。

 

 

 

 

 きっと父もそんな風にスーパーに来ていたんだろうな。

 

そう思うと、哀愁のヨッパライたちが誰も彼も父に見えてきて、どこか愛しく思える。

 

 

 

つーことで。


カルロス・サンタナ 哀愁のヨーロッパ - YouTube

あ・・別に、聴かずともいいんです。貼り付けてみたかっただけです(笑)