花梨とうの粒焼き

日々のちょこっとをちょこっと。

待つ女。

ロックに目覚める?前までは、ひたすらラヂオでフォークを聴いていた。

小学生の頃である。

所謂四畳半フォークってやつ。3畳の部屋で聴いてたけど。

で。

小学生であるからして男女の何たるかもまだ分からんのに、そんなのを聴いて悲しくせつない気分になっていた(笑)

あぁ、これから私もこんな恋愛をするんだろうか・・とか^^;

大人の、なんだかちょっと淫靡な世界に憧れていたのかも知れん。

同棲という言葉をその時に知っていたのかどうかは分からないけど、結婚前の男女が一緒に暮らす、ということが、今のようなあっけらか~ん・・とした感じよりもっとなんつーか・・暗いというか、後ろめたいというか、そんな印象を持っていたのだと思う。

 

始めて聴いて泣いた曲は『神田川』であった。

大人の恋愛のせつなさがわかって泣いている自分は何とオトナなことよ・・と酔っていたのかもしれん(笑)

 

あなたが書いた私の似顔絵がいつもちっとも似てないのだ。

その似てない、というところにググッときていた。

まぁねぇ。

いつも驚くほど上手くてそっくりだった~♪(かなり字余り)・・何つー歌詞だったら、ちょっと違う方向(美大目指せ?とか)にいっちゃってせつなさ感ゼロだしなぁ。

しかし、24色のクレパスが買えるなんていいじゃん。私は12色しか持ってないのに・・という不満?を抱き、また、その直後の歌詞の『窓の下には神田川~』というところで急に視点を窓の外に持ってくるって方法は上手いな、などとエラそうに分析もしていた(笑)

更に、お風呂って女の人の方が長湯な感じなのにいつも先に出て男を待っているなんておかしいんじゃないか?どんだけこの男は長湯なんだ、とか、いつも待たされるってわかっているならもっと遅くまで入っていればいいのに、などとどうでもいいことを考えながら、四畳半フォークの世界にどっぷり長湯していたのだった。

 

ただ、

この曲の肝?である?[あなたの優しさが怖かった]というところだけは、さっぱり分からなかった。

優しいなら結構なことじゃないか。優しいのが怖いってどういうことだ??と。

まあ、優しい言葉をかけてくるオジサンには気を付けよ、とか、そんな犯罪系の偽りの優しさは分かっていたけど。

しかし小学生の私にとって、恋愛関係での男が優しいってことは優しいってことで、それ以上でも以下でもなかった。

そうじゃないことが男と女にはあるのか??・・と。

だからその歌詞はずっと得体のしれない何か不穏な、不安なものであった。

 

 

ところで、何でそんなことを思い出したかっつーと、先日読んだエッセイで、同じことを思っていた人がいたのだ。

何で、優しさが怖いのか分からなかった、と言う人が。

俵万智である。(この人、私好きじゃないのだが^^;)

 

で、俵万智も書いていたけど、20歳を過ぎた頃になってようやくその歌詞の意味が漠然と分かった。

怖いと思う対象は、優しいアナタというより、何かもっと、どうしようもない運命と言うか、購えないものがこの先二人に訪れるんじゃないかという不安、そして好きなのに別れる、っつーことがある、ということ。

それが『22才の別れ』になるのだな、とか。

 

何だかこう書くと、すごく私は貞淑な女のように思われるかも知れませんが(思わないか)20代の私はまさに、彼と銭湯に入っても先に出て待ってるタイプであった。

待たれる、ということが元来嫌い、というのもあるがそれより、先に出て待ってる彼が寒いじゃろうて・・と思ってのことである。

それならば自分が寒風の中、凍死しそうになっても待っている方がよい、と。

あ、一緒に銭湯入ったこと・・なかったか・・ ( ゚ω゚):;*.’:;ブッ ww

 

で、例え彼の絵がへたっぴぃだろうと何だろうと、私の絵を描く・・と彼が絵筆を持てば、私はずっと微動だにせんでドキドキしながら描きあがるのを待っていた。 

・・描かれたこともなかったが。( ゚ω゚):;*.’:;ブッ ww2回目。

 

とにかくそんな、いつも『待つ女』であったのだ。

そして相手にとっては優しい彼女、であったと思う。自分で言うのも何だけど。

そりゃそうである。そりゃそうである、って何だけど。

だって相手に合わせて我慢していたのだから^^;

 

ところがどっこい。

ある日突然、待つことが嫌になっちゃったのだ。

 

えと・・待つことっていうのは比喩?ですが。

 

その人がじわじわと嫌いになっていき、最初はそんな自分の感情を否定していたけど、いったん坂道で蹴躓いたらそのまま急降下していくかのように、何かのキッカケがあったらもうダメなのだ。(このへん、常々きなこさんも強調している?ところ 笑)

 

そうなると、いつまでも洗い髪が芯まで冷えて小さな石鹸をカタカタならしていることに我慢が出来なくなっていく。

で。

とうとう別れを切り出した私に、男は驚くのだ。

昨日まで待っていてくれてたのに何で?と。

いやいや・・待っていたけどさ・・でも・・我慢していたんだ・・ごめんね・・

 

 

そう考えると、男性というものは『待つ女』が好きなのかな・・とも思う。

てか、昔は、かな。

流行った歌も、女はひたすら待つ、ものであった。

『待つわ』(byあみん)だの『待ちぼうけ』(by竹内まりや)だの『待っている女』(by五木ひろし)だの。待っている女は歌詞知らんけど。

寒さこらえてセーター編んでいるような。

 

 

一概に、ホントに一概に、だけど。

女は、好きになればなるほど優しさに敏感で、言葉の裏にあるものは何だろう?とか、ふっとした笑顔に陰りはないか?など常に不安だったり怖かったりするけど、男はそのまま女の優しさを受け止めちゃって安心しきっちゃうんじゃないだろか。

 

実は、怖いのは男の優しさより女の優しさ、なのに。

なんつて。