花梨とうの粒焼き

日々のちょこっとをちょこっと。

人形の怪と演技の回。

人形の怪・・だったけど

前に『人形の怪!?』だったか、そんなタイトルで書いた。

母の知人が、離れて暮らす息子に買ってもらった男の子の人形の話である。

もともと喋る機能が内蔵されていて、下手すると(下手じゃないけど)会話、のようなものが出来るっつー仕組みである。

例えば、まーくん、おなかすいちゃったよ。。とか、さみしかったよ~とか。

人間がそばにくるとおかえり、とか、しばらくほっとかれているとさみしかったよ~などと言う機能は、一人暮らしの彼女にとっては心の拠り所だったのだろう。

彼女はその人形を孫のように可愛がり、ひと時も離さぬという愛着ぶり。

ちょいちょいデパートに人形の服を買いに行ったり、私の母が遊びに行った時なぞ、彼女は『まーくんお腹すいたでしょ?』などと孫に話しかけるようであったと言う。

で、ある時。

実家に行った彼女の息子が、夕食を終えてゴロンと横になると、人形が突然言ったのだ。

タベテ スグネルト ウシ二ナルッテ イウジャナイ?

と。 

(;;;゜ω゜;;A)・・なんで食べたばかりで横になったことが分かったの??

『人間が食事をしてすぐに横になったことが分かるセンサー』が内蔵されているのか!?

また、母が遊びに行った時なぞは

『眠くなっちゃったから寝るね~』と言って目を閉じたところを確かに見たというのだ。

しかし本来その人形は目を閉じるようにはなってなかった。

 

そんな、えっ??ちょっとまて・・ソレ人形だよね??

と思うようなエピソードをちょいちょい聞いたもんで、私は何か宿っておるんじゃないかと訝しみ、今後追って取材を進める旨であるとブログに書いた(笑)

しかしそれから母は彼女の家に遊びに行く機会がなく、取材は中断していた。

で。

今日、母から聞いたのだった。 彼女が亡くなったことを。

 

病気がちではあったが、最後に電話で話した時は元気そうな声だったのに・・と。

そんなことを聞いたら、以前面白がっていたことをちょっと後悔した。

彼女にとってはその人形が不思議だろうが何だろうがソレは普通のことであったのだな・・と。

ふと、ピノキオを思い出してしまった。

もしかしたら終いには他人にはわからぬところで人間になっていたのかも知れん。

彼女にはその堺目の認識はもう無く、当たり前のように一緒に生活していたのかも。

 

お葬式に参列した母は、彼女の柩にその人形が一緒に横たわっているのを見たと言う。

目を閉じていたかどうかは確認出来なかったみたいだけど。

 

 

 

演技の中での演技

敢えて書かんでもよろしいわけだが、私は女優でも監督でもない。 

しかし、ドラマをある程度没頭して観ている時に、ふと、その女優の演技が気になり、今の場面はもっとこうした方がいいんじゃないかとか全く余計な、素人が何言うか的なことを考えてしまうことがある。

一番思う時は、例えば、嘘をつく、ということ。

犯人が『私は殺してなんかいません!』などという場合。

またはそんなストレートなセリフでなくとも、殺しのあった時刻に偽のアリバイを言う、という場面。

 

普通に冷静に刑事に話しているのだ。

普通すぎる。 

まるでやってない、身に覚えのないことであったなら普通でいいのだけど、仮にも犯人である。

そして犯人は俳優の役ではなく、一般人の役である。

一般人がそんなに嘘が上手いもんか?・・と思ったりするのだ。

まあ、実際の事件でもその犯人がまだ捕まっていない時の映像で、しれっと話している場面なんぞが映ったりもするけど。

 

テレビ的には、刑事のみならずお茶の間も、はなから(こいつ犯人じゃないか?)などと悟られんよう騙さなきゃいかんっつーわけで、俳優はしれっと嘘をつく。

嘘をついていると悟られないホントっぽい演技をする。

だけど、しつこいようだけど、演技をしているのは俳優だけど、ドラマの中の犯人は俳優ではないのだ。

だからちょっと動揺、ってまでいかずとも、ちょいうろたえたような素振りもして、尚且つ、お茶の間には堂々とホントのことを言っているように嘘をつく、という演技をしてほしい、とも思うのだ。

何だそりゃ。めんどくさ。私^^;

例えば、うーんと・・。ちょろっと目が泳ぐ、とか、口の端がちょいピクッとする、とか(笑)

でも、あまりにもそのアリバイを言う口ぶりがホントのようだから、うむむ・・この人は違うのかどうなんだ・・と、お茶の間を騙すような演技をして欲しいのだ。

 

つまり嘘が上手すぎてもいかん。

そのさじ加減を見せて欲しいのだ。

 

で。この間の『相棒』であるよ。

最初に殺害現場で刑事に質問されて答える場面があった。

その女優(名前知らんけど)は一般人(の役)。

犯人ではないが、犯人を庇う為に嘘を言う、という場面である。

それは後から分かったことで、その時点ではドラマ的にまだ彼女はシロ(シロって言い方・・^^;)である。ただその場にいたから、という理由で尋ねられたわけで。

まんまと私は騙されてしまった。ああ、この人はシロだな、と。

あまりに自然な発言(の演技)だったから。

しかし、後から考えるに、その時に眉をしかめ、ギュッと目をつぶって考えるようなそぶり、そして目をパチリと開けて毅然とした態度で証言する様に、彼女の役者としての上手さがあった。

ギュッと目をつぶったのは、心の中での葛藤を表していたのか、と。

または、冷静になれ、自分!だとか、どうやって嘘をつくか・・という考えをまとめるため、などの演技をしていたのだ。

後から思うに。

 

そういった演技の伏線が上手い女優だなぁ・・と思う。

 

んで(どうでもよい私的な指摘が長くなっておりますが^^;)

泣く、という演技である。

笑う演技より簡単とは言われるけれど、私は泣く方が難しいと思うのだ。

だって、泣くっつったって泣く理由だとか泣き方だとか泣いてる役柄によってだとか、いろんな泣き方があると思うから。

今までに、私が、この人の泣き方上手いな~と思ったのが、『相棒』(また相棒かよ^^;)に出てきた女優である。

実はこの方、家の近所に住んでいる。

近所びいきみたいだけど、まあ、それもあるけど^^;でも演技が上手い女優さんだと思う。

 

好きな男が自分を裏切ったと思い、殺してしまう、という役。

最後に右京さんに、実は男は彼女を愛しており密かに彼女の為に指輪を注文までしていた、という事実を告げられる。

そして泣くのだ。

その泣きの演技。

え??という驚いた顔をして、うわぁ・・・と顔を手で覆って泣きくずれる、というベタ?なものではなかった。

もしかしたらソレなら私にも出来るかも(出来るかっ!?^^;)

彼女は3回(たぶん)に分けて泣いていたのだ。

しかも泣き顔を手で全て隠してごまかす(かどうか知らんけど)方法ではなく、堂々とお茶の間から表情が見えるように。

 

最初にウッ・・とくる。それは事実を知った驚きとショックから。

しかし、ハタと泣くのをやめる。目を見開きじっと考える。 そんなはずない、だってだって!・・と。

でも、否定する事実が見当たらない。やはりそうなのか・・と。

もう認めざるを得ない。そうだったのか。

そこで再びウゥッ・・とくる。そしてまたハタととまる。

その間、人の良さそうな彼の顔が浮かび、今まで彼と過ごした幸せな日々が回想シーンとなって思い起こされる(私の勝手な想像だが)

そして。

私はそれなのに何てことをしたのだ!もう彼には会えない!!

・・と、後悔と悲しみで、最後にドカーンと泣く。

 

その一連の動作が実にスムーズなのだ。

 

なんつーか、ちょっと若いからとか(僻みです)可愛いからとかアイドルだからとかでドラマで下手っぴーな演技をしているおなごには見習って欲しいもんである。

 

 

そんなことで。

たまに近所で彼女を見かける度に、その肩をポンッと叩き

『アンタ、いい演技してたねぇ~(*´ω`*) 』

と言いたいのだが、不審がられるだろうから我慢している。