鉄男君
今年の4月にやったばかりでまた今月末にクラス会である。
どんだけやんだよっ!^^; もう懐かしくも何ともないし(笑)
高校のクラス会のレギュラーメンバー(←アップして気がついたけど、誰がラーメンバーの話してんだよっ!)は結構ウチワなので気軽ではあるけれど、それにしても金が無い。。しかし今回の幹事は友達夫婦なので断りづらい・・どうしようどうしようと悩んだ末に、やはり断ることにした。
いい歳こいて金が無いとも言えないので(ブログでは言いまくってるけど 笑)その日は用事があるから、とメールした。
しばらくして台風で延期になったと連絡があった。
( ゚ω゚):;*.’:;ブッ ww
そんなわけで、いや~その日もまた用事が^^;>・・とも断りきれず、何とかお金を工面して参加することになった。
その分3日間は断食である。 嘘だけど。
で。私のクラス会参加事情はいいのだが、書こうと思ったのは、レギュラーメンバーの一人の男子についてである。
男子って何だけどもうオッサンだけど、仮名を『鉄男君』としますよ。
ええと・・鉄男君の人物像をどうやって説明したらよいか。。
まず、見た目のインパクト強し。
いつもニコニコしている。てか、ニヤニヤという方が近い。
張り付いている、と言うような。その顔が基本形である。
理科や数学は80点ぐらい取っていたから頭は悪くないと思うし、性格も悪くないのだが、とにかく空気が読めないっちゅーか、読める読めないと言うより本人が常に異次元だった。
で、異次元な彼は高校時代、男女問わずクラスメートのあらゆる情報を収集し、自作のノートに各自の住所やら特徴やら好きなモノやらをびっしり書き込んでいた。
今で言うなら広規模なストーカーである。
なので、当然女子から気味悪がられていた。
あの頃の思春期の女子は、好きか嫌いかどっちでもないかの白・黒・グレーで、グレーゾーンは幅があったけど黒は全くの黒である。 一旦黒に入ったらもう何混ぜても黒なのだ。
どんなに離れた席でもさ~ちょっと鉄男君の名前を口にしただけですぐに振り向くんだよ・・しかも身体は前を向いてるのに首だけぐるりと。195°ぐらいだった。と言う都市伝説まで生まれていた。
また、修学旅行でいきなり結婚を迫り(壁に追い詰めて、○○さん!僕と結婚して下さい!と叫んだらしい。どんだけいろんなもん飛ばした告白だよ^^;)その女子に泣かれたというエピソードは黒に黒を重ねることに拍車をかけた。
男子の方はどうだったかっつーと、、
皆、彼とは程よい距離を取っていた。
また、この間のクラス会では一人の男子が、鉄男君がある女子に宛てて書いたラブレターのようなポエムを
『何で俺が持ってんだか分かんないんだけど家にあった』と言って持って来ていた(笑)
何で彼が鉄男君のラブレター(下書き?)を持っていたのかは最後まで謎であったけど。本人ですら覚えてなかったみたいだし。
だからいつも一人かと言うとそうでもなく、何人かの同じ趣味仲間で旅行に行ったりもしていたらしい。(後で知った)
女子には疎まれていたが男子との世界では何かしらそんな青春な交友があったのだろう。
仮名からお分かりの通り、彼は鉄道ラブなのだ。
ラブどころか、鉄道そのもの、と言ってもよいのではないだろか。
クラス会に彼は毎回参加し、それはまあいいのだが、何がアレって、いつのまにかお守役が私になってることである 泣)
何か知らんが隣の席に来てズリズリと擦り寄り(いつも顔が近い)『花梨さん、花梨さん!コレこの間行った○○』と、どっかの地方の駅の電車だか汽車の写真を何枚も見せられる。
きなこさんだったらきっと20分ぐらい我慢して話を聞いてあげられたであろうが、鉄道に関して全く無知で興味がない私には永遠とも思える時間である。
もしそれが鉄男くんでなかったら、あと10分ぐらいは持ったと思うけど^^;
それが鉄道の話云々、つーより、とにかく相手が興味があろうとなかろうと何も口を挟めないほど、ず~っと話し続けられるのだ。 ある意味すごいけど。
楽しそうに昔の話に花を咲かせている友人たちに目で窮状を訴えるが、あ~あ・・ガンバってね^^;・・てな感じで同情の目をしつつニヤリとされて終わり。
途切れることなく横で鉄道話に熱弁をふるわれながら、あ~そっち行きたい・・と、いつも思うのだった。
そう書くと、鉄男君は花梨さんのことを好きなんじゃないかとも思われるやも知れんがそんなことは全く無い。
好きな女子ベスト10を書いたノートを高校時代に彼が男子らに見せていた、という話で盛り上がっていた時に、酔った私が『鉄男君、私の存在なんぞ全く興味無かったでしょ』と言い終わらんうちに『うん。』と重ねて返事されたのだから。( ゚ω゚):;ブッ w
この間のクラス会で、彼は新しい自作のノートを持ってきていた。
最近再び始動し始めたクラス会のメンバーについて、彼なりの印象やら想い出なんかを書き始めたらしい。
私の欄には
『合唱祭で伴奏をした。 クラス会は皆勤賞。 A型』
と書かれていた(笑)
A型って、どこで入手したのだ。恐い。
男友達の一人は、『太っている。』とだけ書かれていたらしく怒ってたけど 爆)
ちょっと話がややこしいのだけど、今年、クラス会の前に高校の同窓会があった。
二次会もまだ70人ほどいた中で、鉄男君の近くにでもいたのだろうか、幹事の一人の男子からmixiでコメントが来ていた。
『何であいつに介護付かないの~?』と。
それを読んだ私は、なぜか腹が立ったのだ。
なぜ腹が立ったんだろ・・。
何だか身内を貶されたような気がするからか。
このクラスが好きだから、そのメンバーの鉄男君がひどい言われようをして腹が立ったのか・・。
確かに、いてもいいけど、横には来ないで下さいという彼である。
しかし、嫌いにはなれないのだ。
なんでだろ・・。あんなに疎ましいのに?(こんなこと書いて、彼には申し訳ないが^^;)
自分でもよく分からんモヤモヤな感じだった。
で。
この間のクラス会で、ハタ、と思った。
最後の方で、京王沿線御用達の店のレトルトカレーを嬉々として皆に配っている彼の姿を見て。
何故、疎ましがられても嫌われないのか。
それは、彼がこのクラスを愛しているからか・・と。
彼が配っていたのは、レトルトの箱である。
5個入りのそれを人数分、5箱。
それを一人抱えてクラス会にやって来たのだ。
重かろうに。
皆の印象を書き連ねたノートを持つ広範囲ストーカーは、それによって何か悪いことをしようなんざサラサラ思ってはいないのだ。
ただ、このクラスの人たちが好きなのだ。
全く奇異な、彼なりの想い出の閉じ込め方でもって、ずっとこのクラスを愛し続けているんじゃないか、と。
卒業して皆バラバラになって環境も違って。
しかし、ずっと変わらない変わった鉄男君がいるから、皆苦笑しつつもあの頃にスゥっと戻れる。
それが心地良いからじゃないか。
そんなことに初めて気がつき、カレーを受け取りながら、私は初めて彼に心からありがとう、と言った。
んでもって。
二次会で、皆に『オマエいくつだよー!』と苦笑されながら嬉しそうに、高らかに歌い上げる彼の『鉄道唱歌』を聞きながら
今度のクラス会でまた擦り寄ってきたら、悪いが今度こそ、ごめんね、と優しく微笑んでさりげなく移動しよう、と思った(笑)