近所の話。
常識を持たないビン割り男と、彼の巡回の年
数年前、市のビン回収の曜日になるとうちからさほど遠くはない道端にビンが粉々になって落ちていることがあった。
ビン割り男の出現である。
ビン割り男は、回収車が来る前に誰かの家の前に置かれたケースの中からビンを何本か取り出し、道端でガシャーンと割り、また他の家のビンを取り出し、またガシャーンと割る。
そんなことを繰り返しながら近所を練り歩くのだ。
小さい子供などが何かの拍子に転んだ場所に粉々に割れたガラスの破片があったらかなりキケンだ。
私の家はやられたことが無く、顔も知らないのだが、どうやらこれまた近所に住む30代の男性の仕業であるらしい。
何やっとるのか。何ゆえにか。
誰も解らんし、きっと本人も解らんのだと思う。
彼は軽い知能障害がある。らしい。
一度近所の人が注意をしたらしいのだが、それに逆上してその家の窓にガラスのビンを投げつけられた。
何度か神経科に入院してはすぐに退院するという繰り返し。
聞くところによると、母親が過保護で?すぐに退院させるのだ、と。
どれほどの病状なのか、どのタイミングで入院するのか、また何故すぐに退院させるのか、そんなことが出来るのか、、。
全く判らないのだけども。
いつからか、母親が後ろを付いて回るようになった、と。
箒とちりとりを持って。
そんな断片的な情報であーだこーだと勝手に想像出来んのだけど。。
何だか、その図はどうしようもなく虚しい・・と思う。
どんな気持ちで母親は箒とちりとり持って息子の後を歩いているんだろう。
逆上すると何をするか判らない自分より身体の大きな息子に対する怖さ、もあるだろうし、近所との関係とか、またそんな息子に対する愛情や哀れみ悲しみもあるだろうし。。
これから先もずっとこうして息子の後をついて行くのか。
こうして息子の後始末をしながら。
自分が先に死んだらこの子はどうするのか・・。
そんないろんな心配や暗澹たる想いで胸が潰れそうなのではないだろうか。
そんなことを近所の人達と話していたその年以降、 噂は聞かなくなった。
あれから10年ぐらい経つ。
その母と息子はどうなったんだろう。
今でもたまにビンの回収日に、粉々に割れているビンが落ちていることがある。
彼の仕業かどうかは判らないけれど。
ええと・・(;;;゜ω゜;;A)ちょっと気分を変えてオマケの話ですよ。オマケって何だけど。
ゴミ袋を持たない掃除のおばさんと、彼女の巡回の年
これまた近所に不思議なおばさんがいる。
ちょくちょくお見かけするのだが、必ず(必ずと言いますかそれ以外の姿を見たことがないけど)箒で道端の枯葉なぞを掃きながら歩いている。
目撃情報によると、その行動範囲は1キロ以上である。
大変失礼なのだが、一見ホームレスの人である。
薄汚れたシャツとロングスカートを履いて、肩から大きな布のバッグを下げている。
しかし、バッグとスカートは同じ柄の布でおしゃれさんなのだ。
で、とにかく一心不乱に掃く。 とにかく掃いて掃きまくる。
・・・で。
その集めた枯葉をどうするかっつーと・・
下水溝に全部落とす。 詰まる。
で、ある時ショルダーバッグの中身が判明したことがあった。
近所の方が最初何も知らずにただ掃除をしているのだと思って
「いつもお掃除ご苦労様です^^」
とか何とか言ったらば、バッグから大根を取り出して渡されたらしい。
枯葉の舞う秋が彼女の掃き入れ時である。
ところで。
村上某氏の例の本の主人公の彼。
・・・どうも好かん。個人的にですが。