電球の指輪。
普段のごちゃごちゃした生活の中で、例えば夜に家事が一段落した時など・・
ふぅ~・・と家のソファーに寝っころがる。
天井の照明が付いている。
するとついやってしまうことがある。
その照明に手を翳すのだ。
んで、指を広げて片目をつむり、その指の間に電球の光を入れる。
(写真デカっ!)
小さい頃からずっと、そんなクセが付いている。
何も考えず、ぼーっとしている時。
いや、考えているのはどうやってどの角度で指を動かしたらちゃんと電球の光が指の間に収まるか。
そんなことである。
そしてそれを『指輪』だと思うことにして飽かずにずっと眺めていた^^;
私は貴金属っつーのには昔からあまり興味が無い。
だから若い時から指輪なども付けるとしたらビーズで作った可愛らしいモノとか、ちこっと小さな飾りが付いている安いメッキもの。
それを可哀想だと思ったのか何だか知らんが、当時付き合っていた彼から誕生日に指輪を貰ったことがある。
コレ開けてみて、と言われ、小さな箱を受け取った。
パカッと開けたら、私の誕生石のガーネットがちょこんと付いた指輪であった。
あー!ありがとう!!
・・と指輪を見て言った途端に彼は私にキスをした。
・・・。
なんだ、この安いジュブナイルみたいなあらまし。
この一文を書くのに10分悩みました。
( ゚ω゚):;*.’:;ブッ ww
普通、恋人同士ならば彼女とすれば感動的な場面である。
涙の一つも零すかも知れん。
他の、例えば。。んーと・・まぁ、洋服でもいいし花、でもいいけども、それらに比べて『指輪』の持つ意味は結構デカイ。
彼にとっても彼女にとっても、そこにお互いのそれに対する重みのズレは無いんじゃないかと思う。 指輪っつーやつの。
だから。
私が貰った指輪も、彼にとっちゃー彼なりの愛情をカタチにしたもんだったはずである。
値段はサラリーマンの給料3ヶ月分どころか1ヶ月のバイト代の3分の1ぐらいだろう。
それでも、彼にしてみれば決して安くは無い金額。
そして買うときもそれなりに悩んだであろうよ。値段も勿論、どのデザインにしようか・・などと。
渡した時の私の嬉しそうな顔を思い浮かべながら。
そんな彼女冥利に尽きるような展開の中。。
それなのに。 あぁ、それなのに。。
私はあろうことか、そこですぅ~っと冷めてしまったのだ。
なんてやつだ。 貰っといて。
勿論、最初は好きになったから付き合ったのだが。
彼は、多分男はこうあるべき、女はこうあるべき、だと思い込むタイプだったのだと思う。
良く言えば、レディファーストを重んじるような紳士気取り。(気取り・・って、良く言ってないか^^;)
例えば。
彼の車の助手席に乗るんでもいちいち(いちいちって^^;)助手席に回ってドアを開いてくれる。
んで、私はといえば、あら、有難う。とか言って優雅にスカートを翻しながら早く乗りゃーいいものを、そん時に限って何だかよそ見をしていたりしてなかなか気がつかない。
で。 彼はすごく怒る。
または、ちょっとしたレストランでも最初に私の座る椅子を引く。
私はといえば、あら、有難う。とか言って優雅にスカートを・・(以下同上)で、早く座りゃーいいものを、気がつかないで他の椅子に座る。
( ゚ω゚):;*.’:;ブッ ww
で。彼はすごく怒る。
もうお気づきかと思うが(またはイラつかれたでしょうか^^;)
私は、そういうことにかなり無頓着な女である^^;
がさつっつーかね。
しかし、今ならば
怒るならそんなことしなきゃいいじゃん。
私がどうしようが何処に座ろうがほっといてくれよ!
めんどくせー奴だなー!
・・・・と、言えると思う・・多分(笑)
しかし、当時の私はそう思いながらも口に出さなかった。
あっ、ごめんね^^;と謝り、それでも次回からは気をつけようと思った。 (思っただけだが)
そんなこんなで、それから私はいつのまにか先回りして彼の思惑を考えるようになっていた。
そうしたからきっとこういうリアクションをとって欲しいんだろう、とか。
だから、指輪を貰った時も・・
嬉しいというより、変な話だが、喜ばなきゃ、、と思ってしまったのだ。
小さな軽い宝石の箱を持った私の気は重かった。
そして彼は案の定(案の定て)俯いている私にキスをしたのだ。
嬉しいだろう?・・とばかりに。
多分。
少しづつ少しづつ溜まっていたものを、私は本当はもう捨てたかったんだ。
こうしたらそうするべきみたいな束縛からもう逃れたかったんだ。 疲れちゃったんだ。 勝手だけれど。
助手席のドアなんか開けてくれなくたっていいよ。
椅子なんか引いてくれなくたっていいよ。
もし、そこで私が気がつかなくて違う席に座ってしまったら。。
なんで椅子引いたのにソコ座るん!? などと笑って突っ込むような、そんな関係でいたかったな。
んで、彼も
こんな私に読まれるような、下手なケータイ小説みたいになぞらえたような愛情表現ではなく。
だから、その時に貰った指輪は私にとっては心をより束縛されるモノのような気がしたのだ。
何だかそれに耐えられなくなってしまった。
私が別れようと言った時。
彼にとっては寝耳に水であったろう。
勝手だけれど。でも、言えない言葉がずんずん溜まっていたのだ。
終いには。
その後、彼はデカイバラの花束を持って家に来た。
こんなことを書くとどんだけ冷たい奴だと思われるだろうけど。。
好きじゃなくなった男から貰う花束ほど気が重いもんは、無い。
一旦お互いに冷めてしまった男女がいるとすると、、。
男の方は、多分足し算と引き算なのだろう。
優しいから。
最初は引き算で冷めていても何か、彼女のしぐさや言動でちょっと足し算になり、もしかしたらプラマイゼロになり、そしてもしかしたらプラスになるかも知れない。
でも。
女の場合は、掛け算なのだ。
夢中になっている時は足す2ではなくて、掛ける2なのだ。
そして加速をつけて倍、倍になっていく。
相手が辟易しようとも。
しかし、一旦マイナスが入ってしまったら。。
一気に今度は全てマイナスになってしまうのだ。プラスになるようなことであっても逆にマイナスが加速するだけ。
いや、そうかな~??と思われるかも知れないが、まあ、私の持論つーか、拙い経験の中で得た恋愛論?である^^;
だから、私にとって、その花束はマイナスを加速させるものでしかなかった。
そして。
彼の方も、最後の最後まで案の定な彼、であった。
昨夜、電球の指輪のことを初めて子供に話した。
すると
『それ指輪じゃないじゃん^^; 指輪って指の上にするもんじゃん^^;』
・・と、しごく尤もなことを言われた。
そっか!!@@:
・・と、ウン十年してから気づく私も私だが。
でも、いいのだ。
私にとってはコレは指輪なのだ。
誰にも縛られない、私だけの。
今は。。
食を扱う仕事柄、指輪は禁止されているので結婚指輪もしていない。
取ったり嵌めたりするのもめんどくなってとうとう外してしまった。
だから。裸の指。
もう誰からも指輪なんぞ貰うことも無いだろうし。。
欲しくもない。
そして。
もし長生きして、おばあちゃんになって、皺だらけ、しみだらけの手と指になっても・・
きっとこうやってふっと手を翳すんだろう。
たまには、思い出すんだろうか。
貰った指輪のことを。 彼のことを。
懐かしく思うのかな。
手と同じぐらい古ぼけた電球の、指輪を見つめながら。
keisukeさんの記事にトラバ返し。
『恋愛ごっこと想像力。』
http://sakak.hatenablog.com/entry/2012/11/17/204750
私、思うんですが、男性がブログで語る恋や愛、ちゅーもんは女性が語るソレよりろまんちっくなもんが多いなー・・と。
いや、こちらのkeisukeさんの記事に甘い言葉は一つも書かれては無いのだけど、何かそう思いましたb